
サンダルウッドという名前は、聞いたことがありますか?
木のサンダルを想像した人もいるかもしれませんね笑
英語のサンダルsandalと同じスペルですが、実はサンスクリット語が語源。
そして、サンダルウッドは日本人に身近な香りなので、いろいろなエピソードを知ると、きっと親しみを感じるようになるでしよう。
サンダルウッド精油のプロフィール
精油名 | サンダルウッド Sandalwood |
学名 | インディアンサンダルウッド:Santalum album(サンダルム アルブム) オーストラリアンサンダルウッド:Santalum spicatum(サンダルム スピカタム) |
科名 | ビャクダン科 |
主な産地 | インディアンサンダルウッド:インド、インドネシア、スリランカ オーストラリアンサンダルウッド:オーストラリア |
抽出部位 | 心材 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
主要成分 | インディアンサンダルウッド:α-サンタロール、β‐サンタロール、サンタレン オーストラリアンサンダルウッド:α‐サンタロール、β‐サンタロール、α-ビサボロール |
ノート | ベース |
印象 | 深い落ち着いた甘さの中にウッディな香り |
注意事項 | 妊娠中は避ける。 |
サンダルウッド精油の効果・効能
【心への効能】
- 鎮静作用:イライラや興奮する神経をおさめる。
- リラックス作用:気持ちをゆったりと落ち着かせる。
- 催淫作用:性欲を高め、二人の気分を盛り上げたいときに。(イランイラン精油、ジャスミン精油、ローズオットー精油などにも同じような効果があると言われている)

瞑想やヨガ、1日の疲れをとりたいときにも。
【体への効能】
- うっ血除去:血液やリンパ液などの体液の流れをよくする。
- 抗菌消毒作用:咳やのどの炎症、気管支炎などの呼吸器系のトラブルに。泌尿器系では膀胱炎によい。
- 収斂(しゅうれん)作用:肌を引きしめる。保湿する。
- 皮脂分泌の調整:乾燥肌にもオイリー肌にもよい。肌をやわらかくし、うるおす。
サンダルウッドのお話

サンダルウッドの特徴や作用
サンダルウッドは常緑の15mほどになる高木。
別名はビャクダン(白檀)です。
サンダルウッドの名前の由来は、インドのサンスクリット語で古くからチャンダナと呼ばれ、英語名のsandalwood のもとになっています。
発芽してから1年ほどは自生しますが、その後は寄生根という根を伸ばし、他の木の根に寄生して育っていく半寄生植物です。
産地は原産のインドのほか、インドネシア、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランドなどです。
60年ほど成長した木の中心部(心材)をチップ状にして、精油を抽出します。
インドの伝統医学アーユルヴェーダではシロダーラ(頭部滴油法)のひとつで、ミルクダーラに使われることがあります。
香の世界ではビャクダン(白檀)と呼ばれることが多く、伽羅(きゃら)や沈香(じんこう)とともに重宝されている香木のひとつです。
インディアンサンダルウッドはインド産のなかでもマイソール産のものが香り高く、高級とされています。
現在は絶滅危惧種に指定されており、インドの環境森林気候変動省が保護森林として管理しており、伐採すると植樹が義務付けられ、輸出にも厳しい規制があります。
そのため、インディアンサンダルウッドは価格が高騰し、貴重なものとなっています。
近年は、植物起源は異なるビャクダン属の別種オーストラリアンサンダルウッドが代用品として使用されています。
香りは少し異なる部分はありますが、インディアンサンダルウッドと共通のα-サンタロール、β‐サンタロールなどの芳香成分が含まれています。
また、化粧品の原料としても有用なものとされています。
サンダルウッド精油の香りと作用
精油自体は粘度があり、香りは落ち着いた深い甘い香りの中に、わずかな酸味があるようにも感じられます。
そして、高貴な深い香りは香料として、多くの高級フレグランスに配合されています。
保留効果があるので、他の精油と合わせると、その精油の香りも長持ち。
ベースノートとして活躍しますが、衣服につくと香りが残りやすくなるので気をつけましょう。
芳香成分のα-サンタロール、β-サンタロールは血液を流す作用があり、むくみや静脈瘤などに使われます。
また、収れん作用や保湿効果があることから、古代からスキンケアにも用いられてきました。
特に硬くなった肌をやわらかくする作用が期待されます。
メラニンを生成する酵素チロシナーゼに対して、サンダルウッド精油の阻害作用を調べたところ、美白成分として知られる、アルブチンと同等レベルのはたらきがみられたとの研究報告があります。
またサンダルウッド精油には鎮静作用があるので、気持ちを落ち着かせたり、ストレスをやわらげる助けをします。
深いリラックスを導いてくれることから、瞑想をするときに精油を嗅いだり、ヨガをしながらの芳香浴などもおすすめです。
※気持ちを落ち着かせる効果が期待されますが、うつ状態の人がサンダルウッド精油単品の香りを嗅ぐと、かえって落ち込むことがあるとも言われています。気になる場合は避けたほうがよいです。
一方で催淫作用もあるとされるサンダルウッド。
パートナーと甘い時間を共有したいときに、サンダルウッドのブレンドで二人の情熱的な雰囲気を高めるというのもひとつの方法。
たとえば、サンダルウッド、イランイラン、ジャスミン、ローズオットーなどから好きな香りを選びブレンドする。
超音波ディフューザーから、ほのかな香りをまとった水蒸気。
お互いがゆったりと心を開き、素直な言葉をかけあう。
そして、心も体も結ばれる。。。素敵です。
香道・香文化のお話
白檀(びゃくだん)に関連して。
■香文化の始めは飛鳥時代。沈水香木/沈香(じんすいこうぼく/じんこう)が淡路島に漂着したとの記述が日本書記にある。
■その後、奈良時代に鑑真が仏教の戒律とともに香薬をもたらし、香を供える儀式として根付く。
■平安時代には貴族の間で薫物(たきもの:粉末にした香料を蜂蜜や梅の果肉で練ったものを炭でくゆらせる)がひろまり、室内や頭髪、衣服に香りを移し楽しむようになる。
■室町時代の東山文化では、聞香(もんこう:うすく切った香木を香炉で炭と灰を使い、香りをくゆらせ、心を傾けて香を聞く)が確立し、教養となっていく。
■江戸時代には組香(くみこう:いくつかの香を聞いて何の種類かを当て鑑賞する遊び)が発展、また庶民の間でも線香が使われるようになる。
■現在でも白檀(びゃくだん)は、お香や線香、仏具、建材に加工されている。
具体的には数珠、位牌、扇子の骨ぐみ、仏像など。
そして、伽羅(きゃら)沈香(じんこう)とともに日本の香文化には無くてはならないものになっている。
サンダルウッド精油のおすすめの使い方
瞑想や宗教儀式などに使われてきたサンダルウッド。
ディフューザーやトリートメントなどで、普段の生活に取り入れてみるのもいいですね。
雑多な気持ちを落ち着かせ、少しの時間でも心の静寂を取りもどすことは、とても大切なこと。
気持ちをクールダウンしたいとき、リラックスしたいときに、サンダルウッド精油や、お香の白檀を思い出してみてください。

週末のゆったりボディケア
仕事・家事・子育ては忙しい、自分の体をゆっくりマッサージする時間なんて。。。
たまには、「一時間だけ」協力してもらい、じっくりと自分に向きあってみましょう。
ボディケアと言っても、ふくらはぎや腕だけの部分的なトリートメントでも十分。
もちろん余裕があれば、太もも、おなかまわりもトリートメントオイルで優しくさすれば、充実感が増します。
気品に満ちた香りとスッキリ感で心も体も癒され、気持ちがおだやかに、あたたかい気持ちに。
【材料】
・グレープフルーツ精油 2滴
・サンダルウッド精油 2滴
・フランキンセンス 2滴
・ホホバ油 30㎖
(またはマカデミアンナッツ油30㎖ / アルガン油30㎖)
【作り方】
①ビーカーにホホバ油と各精油を入れよく混ぜる。
②遮光性の保管容器にうつす。
③作成日、使用期限、各精油名を記入したラベルシールを容器に貼る。
※体用トリートメントオイルの目安は希釈濃度1%、植物油30㎖ に対して、精油6滴になっています。肌が敏感な方は、精油の滴数を上記より少なめにするなど調節しましょう。
リラックスしながら風邪予防
お部屋にも自分に香らせるパヒュームとしても使えるアロマスプレーです。
疲れているときは抵抗力が落ちやすいので、帰宅後に香りをひと吹きかけて、まずは気分転換。
ローズマリー、サンダルウッドともに抗菌作用があるので、やさしい柑橘系精油とブレンドしてリラックスしましょう。
さらに、腸によい発酵食品(味噌汁やヨーグルトなど)をとって、免疫力もアップ。
【材料】
・ベルガモット精油 2滴
・オレンジスイート精油 2滴
・ローズマリー精油 1滴
・サンダルウッド精油 1滴
・無水エタノール 10㎖
・精製水 20㎖
【作り方】
①ビーカーに無水エタノールを入れて、各精油を入れガラス棒でよく混ぜる。
②そこに精製水を入れ、さらによく混ぜる。
③遮光性スプレー容器にうつし、キャップをしてからよく振ってから使う。
④作成日、使用期限、各精油名を記載したラベルを容器に貼る。
※体に吹きかけてもよいように、目安は希釈濃度1%、水性基材30㎖ に対して、精油6滴になっています。肌が敏感な方は、精油の滴数を上記より少なめにするなど調節しましょう。
■ 手作りスプレー・トリートメントオイルを作るときの注意 ■
◎精油は直接 肌につかないように気をつける。
◎水分を含むものは1~2週間で使い切る。
◎水分を含まない植物油などは約1~2ヶ月ほどで使い切る。
◎異常を感じた場合は使用を中止し、医療機関に受診する。
※『天然精油(エッセンシャルオイル)』を用意。
ラベルに『エッセンシャルオイル』と書かれているもの。
※保管容器は遮光性のあるガラス製が一番だが、重く、割れることが気になることも。
精油専門店の生活の木さんのPET,PPのプラスチック製品は、薬品耐性を表示してあるので安心。
プラスチック製品を選ぶときは遮光性で、PET,PPなどの表記があるか確認する。
ブレンドの相性
香りを長くとどめる保留剤としても、いろいろな精油と調和します。
■柑橘系(シトラス)系:レモン、グレープフルーツ、ベルガモット、オレンジスイート
■フローラル系:イランイラン、ジャスミン、ネロリ
■樹脂系:フランキンセンスなど。
香水

【サンダルウッド香料が使用されている例】
■武蔵野ワークス
香水 白檀2019 [ Sandalwood ]
トップ:レモン、墨、白檀 など
ミドル:白檀、檜、パチョリ、ベチバー、ジャスミン など
ベース:白檀 など
■CHANEL
エゴイスト オードゥ トワレット(ヴァポリザター)
トップ:マンダリン、コリアンダー
ミドル:オリエンタル ローズ
ベース:サンダルウッド、バニラ、アンブレット シード
など、いろいろな香水に香料として使用されています。
家で過ごす時間が多いときにこそ、「香り探し」をしてみましょう。
自分に合う香りが分からない、自分のお気に入りの香水を見つけたいときは、月額制の香りの定期便を利用してみるのもいいですね。
詳しくは公式サイトからチェック。
COLORIA 公式サイトはこちら

サンダルウッド精油のまとめ
- ビャクダン科。他の木に根を伸ばして育つ半寄生植物。
- もともとイディアンサンダルウッドが使われていたが、絶滅危惧種となり現在は貴重なもの。近年はオーストラリアンサンダルウッドが代用品として多い。
- 日本でも宗教行事や瞑想などに使用され、白檀の名前でお香でよく知られている。
- 香りは深い甘さの中にスパイシーとウッディさがある。
- 鎮静作用があり、リラックス効果が期待される。
- 血液やリンパ液の循環を促進する作用や抗菌作用がある。
- 催淫作用があり、性的な気分を高める効果がある。(サンダルウッドのほか、イランイラン・ジャスミン・ローズオットーなども同じような効果あり)
- 芳香成分が残りやすいので、香りを長くとどめる保留剤としても香水にもよく使用されている。
- 妊娠中は避ける。
- うつ症状のある場合はサンダルウッド精油単体での使用を控える。
香りは、ふだんの私たちの生活の中にさまざまな形で関わっています。
どこかでサンダルウッドという名前を見たり、香りをかぐことがあるかもしれません。
サンダルウッド精油の特徴や効能、安全な使い方、また精油にある背景や歴史を的確に知ることは、精油を選ぶ上でもアロマテラピーや香りのある生活をする上でも大切です。
そして、自分の気持ちに素直になる、自分を大切にするということはどういうことかを考える、あなたの気づきになれば幸いです。
